ベトナムで日本商品を売る価格設計:値引き後に利益を残すための確認事項
仕入れ値だけで価格を決めていませんか。配送費・手数料・販促費を整理し、注文ごとの残額を計算する方法を仮定の数字で解説します。

イメージ写真:倉庫に保管された段ボール箱。WIREDREAM VIETNAMの施設や取引実績を撮影したものではありません。写真:Handi Boyz LLC/Pexels。
ベトナムで日本商品を販売する際は、競合価格に合わせて値引きする前に、注文1件ごとの入金と支出を確認しましょう。仕入れ価格に一定の率を乗せるだけでは、配送負担や販売手数料、販促費を払った後にいくら残るかが分かりません。ホーチミンでの集客を売上だけで評価せず、「いくら使って、いくら残せる販売か」まで見える表を作ることが出発点です。
年末商戦の前に、価格の決め方を点検する
ACCESS ONLiNEは2026年10月24日付で、ベトナムの消費者が価格や必要性を慎重に見極める状況を紹介しました。同日の別記事では、生産者価格と店頭価格の間に生じる流通コストを取り上げています。前者は2026年1〜9月の市場動向、後者は直近の取引状況などを扱う報道であり、10月24日だけに起きた出来事ではありません。
こうした報道から、すべての商品を安くすべきだとは言えません。以下は、日本商品を現地販売する事業者に向けたWIREDREAM VIETNAMからの実務提案です。まずは主力商品を一つ選び、通常販売と販促時の収支を比べてみてください。
1.「仕入れ値」と「販売できる状態までの費用」を分ける
日本での購入代金だけを原価として扱わず、国際輸送、通関に伴う費用、現地配送、ラベルや包装、保管などの項目を洗い出します。実際に発生する費用は商品・契約・輸入方法で異なるため、見積書と請求書で確認します。税金の扱いは、控除できるものと最終的な負担になるものを混同せず、担当の会計・通関専門家に確認してください。
共通の輸送費を商品に割り振るときも、個数だけで均等に分けるのが適切とは限りません。重量や容積、温度管理の必要性を踏まえ、社内で説明できる配賦基準を決めます。外貨で仕入れる場合は、計算に使った為替レートと日付も記録します。
2.販売チャネルごとに、手数料の条件を確認する
店舗、卸売、ECでは費用の出方が違います。販売手数料がどの金額に掛かるのか、配送費は誰が負担するのか、クーポン原資は自社負担か、返品時に返らない費用があるかを確認します。入金額だけから逆算すると、後から請求される広告費などを見落としがちです。
まずは「注文番号/販売額/値引き/手数料/自社負担配送費/商品原価/梱包費/返品等の費用」を一列に並べます。契約上の見込み値と、実際の精算明細の値を分けて残すと、想定と実績の差を追いやすくなります。
3.値引き後に残る金額を計算する
次は説明用の仮定であり、市場相場や当社の実績ではありません。各金額の税の扱いをそろえ、追加の税負担は別途精算する前提の簡略例です。
- 通常の販売額:200,000 VND
- 販促時の販売額:180,000 VND
- 商品原価と梱包費:110,000 VND
- 販売手数料:販促時販売額の10%と仮定し、18,000 VND
- 自社負担の配送費:20,000 VND
この場合、広告費や固定費を引く前に残る金額は32,000 VNDです。さらに注文1件当たり30,000 VNDの広告費が掛かれば、残額は2,000 VNDになります。返品・破損などが発生すれば、この金額からさらに負担が生じます。これは会計上の最終利益ではなく、施策を比較するための概算です。
同じ仮定で値引きしない場合は、200,000−110,000−20,000−20,000=50,000 VNDが残ります。販売額を20,000 VND下げると、手数料の減少を差し引いても残額は18,000 VND減ります。「売れた数が増えた」だけで成功と判断せず、合計でいくら残ったかも確かめましょう。
4.先に販促の上限と中止条件を決める
施策を始める前に、確保したい残額、広告予算、対象数量、確認日、担当者を決めます。初回購入を増やす目的でも、未確認のリピート購入を当てにして赤字を広げるのは避けたいところです。再購入は実際の履歴で確認し、送料補助やセット販売も同じ計算表で比較します。
たとえば「週末の販売後に精算を確認し、残額が社内基準を下回れば広告を止める」と決めておけば、投稿の反応が良いだけで予算を追加する判断を防げます。在庫を売り切る施策と、新規客を獲得する施策は目的を分けて評価してください。
よくある質問
利益率だけを見れば十分ですか?
率と金額の両方が必要です。率が良くても注文数が少なければ固定費を賄えず、売上が大きくても注文ごとの残額が小さければ、運用の負担に見合わないことがあります。入金日と支払日のずれも確認しましょう。
SNSマーケティングでは、何を改善しますか?
値引きの幅を増やす前に、誰がどの場面で使う商品か、価格に何が含まれるか、購入条件が伝わっているかを見直します。表現を変えた場合も、問い合わせ数だけでなく購入と収支まで追い、改善を判断します。効果を保証するものではありません。
販売条件と発信を、一緒に整理しませんか
販売価格やチャネルの前提が曖昧なままでは、SNSの告知内容も決まりません。日本商品の現地展開を検討中の方は輸入・卸・販売支援、発信の見直しはSNSマーケティング支援をご覧ください。お問い合わせでは、商品、想定する売り先、現在困っている点をお知らせください。対応できる範囲を確認したうえで、次の進め方をご相談します。
