ベトナムで日本商品を売る前に:輸入権・卸売・小売を事業計画へ落とす5つの確認
日本商品の販売前に、輸入・卸売・小売・ECの役割をライセンスと商流に分けて確認する実務チェックリスト。2026年10月施行の政令342号を手がかりに、相談前に整理したい5項目を解説します。

イメージ写真:ホーチミン市の川沿いの街並み。写真:Pham Huynh Tuan Vy/Pexels。
ベトナムで日本商品を売る前に:輸入権・卸売・小売を事業計画へ落とす5つの確認
ベトナムで日本商品を扱う計画があるなら、最初に確認したいのは「何を売るか」だけではありません。自社が輸入・卸売・小売・EC運営のどこまでを担うのかを、ライセンスと実際の商流に分けて整理することです。販売を急ぐ前に役割を一枚にまとめると、パートナー探し、在庫計画、SNSでの告知内容まで判断しやすくなります。
2026年10月18日、外国投資家・外資系経済組織の物品売買などを対象とする政令342/2026/NĐ-CPが施行されました。これは従来の規定に代わるもので、事業許可の対象となり得る活動として小売の流通権、特定品目の輸入権・卸売権、物流、商業仲介、EC型SNS等の管理・運営などを示しています。制度の適用は商品、事業形態、投資家の状況で異なるため、以下は許認可の結論を出すためではなく、専門家や関係機関に確認する前の実務整理としてお読みください。
1. 販売の流れを「行為」に分解する
「日本商品をベトナムで販売する」という言葉だけでは、必要な確認が見えません。まず、予定する行為を時系列で書き出します。
- 日本または第三国から輸入する
- 通関後に自社または取引先の倉庫へ保管する
- 現地の法人・店舗へ卸す
- 自社店舗、委託先店舗、オンラインで消費者へ売る
- マーケットプレイスやEC型SNSを管理・運営する
この中のどこを自社が契約当事者として担い、どこを現地パートナーに委ねるのかを分けます。たとえば、SNSで商品の魅力を発信することと、注文を受けて消費者へ販売することは、同じ「販売促進」ではありません。投稿、受注、請求、在庫、配送、返品の担当を一枚の表にすると、事業範囲の確認が具体的になります。
2. ライセンスと登記の記載を、計画した行為と照らす
次に、自社のIRC・ERC、事業許可、投資登録上の事業目的など、手元にある書類を確認します。大切なのは「輸入ができる」「卸売ができる」といった理解だけで終わらせず、実際に予定している商品と販売先・販売方法を照合することです。
特に、小売、特定品目の輸入・卸売、物流、商業仲介、EC型SNSの運営は、政令342号で事業許可との関係が示されています。自社の書類だけで判断せず、販売開始前にベトナムの法務・投資・通商に詳しい専門家または所管機関へ確認する前提で、確認事項を整理しておくと相談が速くなります。
3. 商品・商流・責任者を一枚で共有する
パートナーとの初回打ち合わせでは、長い事業説明よりも次の6項目がそろっている方が話を進めやすくなります。
- 商品名・原産地・想定数量
- 輸入者と通関対応者
- 保管場所と温度・品質管理の条件
- 卸売先または最終販売者
- 代金請求、配送、返品の責任者
- SNS・広告・商品ページで誰が何を表示するか
これは契約書の代わりではありません。しかし、販売主体が曖昧なまま投稿だけを先行させることを防げます。日本商品の現地販売では、商品の説明、価格、受け渡し方法が一致していることが、取引先にも購入者にも安心材料になります。
4. SNSは「集客の前」に販売情報をそろえる
SNSマーケティングを始める際は、投稿本数より先に、購入判断に必要な情報をそろえます。少なくとも日本語・ベトナム語で、商品名、用途、価格の扱い、販売場所、問い合わせ先、配送・受け渡しの方法、注意事項を確認しましょう。
運用担当が商品情報を都度聞き直す状態では、投稿の承認も遅れます。商品ごとに、事実確認済みの短い説明、使い方、販売可能なチャネル、掲載不可の表現をまとめた「商品情報シート」を用意すると、日越での投稿文や店舗スタッフの案内をそろえやすくなります。SNSは許認可の代替ではありませんが、整った情報は販売開始後の問い合わせ対応を軽くします。
5. 小さく始めても、確認の順番は省かない
テスト販売や期間限定イベントは、市場の反応を知る有効な方法です。ただし「少量だから」「SNSだけだから」として、販売主体や取引条件の確認を後回しにしないことが重要です。
おすすめの順番は、(1)予定行為を整理する、(2)自社とパートナーの書類・役割を確認する、(3)商品情報と販売情報をそろえる、(4)販売可能な範囲でテストする、(5)問い合わせ・返品・再注文の記録を次の計画へ反映する、です。これなら、ベトナム進出の初期段階でも、法務・物流・集客の論点を混ぜずに前へ進められます。
よくある質問
Q. 卸売ができれば、消費者への販売もできますか?
一律には判断できません。商品、販売方法、販売主体、保有する権利・許可の内容によって確認点が変わります。小売を始める前に、現行のライセンスと予定する商流を専門家または関係機関へ確認してください。
Q. ECやSNSで紹介するだけなら、確認は不要ですか?
紹介・広告と、注文受付や販売主体になる行為は分けて整理する必要があります。誰が受注・請求・配送・返品を担うかを明確にし、プラットフォームの利用条件も確認しましょう。
Q. 何から相談用資料を作ればよいですか?
商品一覧、予定する販売フロー、関係者の役割、保有書類、確認したい販売方法をA4一枚にまとめるところから始めると効率的です。
ベトナム進出や日本商品の輸入・卸販売では、商流と情報発信を同時に整える必要があります。販売開始前の整理、現地パートナーとの役割確認、日越での販売情報づくりは、ベトナム進出・現地連携支援や輸入・卸・販売支援のページもご覧ください。具体的な状況はお問い合わせフォームからお知らせください。
参考情報・出典
- ベトナム政府「政令342/2026/NĐ-CP:外国投資家・外資系経済組織による物品売買等に関する規定」2026年9月3日公布、2026年10月18日施行。https://chinhphu.vn/?classid=0&docid=219372&pageid=27160 (2026年10月29日確認)
- VIETJO「10月施行の新規定、外資企業の商業活動規定を改定など」2026年9月30日配信。https://www.viet-jo.com/m/news/law/260929113422.html (2026年10月29日確認)
